【宮代町「農村風景」】   2002年5月  
                      油彩画  15F 53.0×65.2cm    楽環 

屋敷林が点在する農村地帯に足を踏み入れると、これは生け垣を廻らした年代もののなかなか趣のある

伝統的農家群に囲まれてしまった。屋敷林の向こうには、おそらく新田と見られるよく区画整理がされ

た田地が広がり、田植えの準備に余念が無い。農家の庭先にはポピーやら矢車草などの花が無造作に植

えられ、ちょうど今を盛りに花を咲かせている。生け垣は新芽が出たところで、その新芽だけが、緑の

生け垣の上辺りにやや赤っぽい束を覗かせている。空は晴れてるが、この時期特有の水蒸気のもやで、

空気が淡く色付いている。それでも初夏の早朝の陽射しは農家の生け垣の濃い影を路面に投じている。

やおら庭先に洗濯物を干し始めたが、その洗濯物が風景にアクセントを添えてなかなかよいのである。

私に気付き、いぶかしげに様子を伺っているので、大声で「絵を画かせてもらいます。」と告げると

「どうぞどうぞ」と安心した様子で未だ何も画かれていないキャンバスを覗いて引き返していった。


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