IUFRO OAK2003  :【Sivilcultural Aspects of Photo-Morphometric Aspects towards Oak Canopies】
  
IUFRO(国際森林研究機関連合)が2003年9月につくば国際会議場で開催したOAK2003なる研究集会で登壇発表した報告書。
樹木は太陽の光を葉で受けて光合成をすることにより二酸化炭素を固定して樹幹を形成しているが、そうした意味では
樹葉すなわち樹冠が受けとることが出来る日射量を算定することは科学的に重要な課題であると考えられる。
実際当時、木葉一枚ずつがどのように日射を受光するかに係る研究試行等がネット等で見かけることが多かった。
しかし、樹木一本ずつ全ての木葉についてそのような算定をするのは気が遠くなるような仕事であり、事実上不可能であろう。
一方複数の受光面について、全体をある軸廻に回転しても受光量が不変となるような軸が存在し、その軸廻りに
「内部回転対称性を有する受光面」となることを見出したわけであるが、 その特徴を樹冠に適用すると、樹冠に到達する
日射量がその軸廻りに内部回転対称性を獲得すること、当該回転対称軸が林床面に垂直になると想定することが出来れば、
樹冠に到達する日射量が、その林床面への樹冠の投影面が受光する日射量と略同じになることを示した報告書である。
これはある意味で極めて常識的な結論を導いたもので、余り面白くは無かったのかもしれない。
唯、この推論は所謂「広葉樹」の樹冠にはあてはまるかもかもしれないが、針葉樹の樹冠に適用するのは無理があるかもしれない。
実際複数の受光面で内部回転対称性が成り立つ空の日射エリアは、全ての受光面がその日射点から日射が到達するような場合であり、
針葉樹のような尖った樹冠ではそのような天空領域は狭くなるからである。実は、そのような尖った樹冠の受光面が受光できる日射量
は、その樹冠の林床面への投影面が受け取る日射量よりも多くなることが判るのである。
私自身、森林の研究者でもなく、又、森林に関して十分な知識を持ち合わせずこのような会議に臨んだわけであるが
OAKと云うとその頃迄我国では「樫(かし)」と訳され、樫と云えば、常緑樹の樫のことだと思うわけであるが
どうやら、これが大変な誤訳のようで、OAKとは、我国で云う「ブナ科コナラ属の樹林」のことらしく、植生的には「雑木林」
もそれに該当することになりそうだ。もっとも樫もコナラ族と云うことのようではあるが、欧米ではOAKは寧ろ落葉樹を
イメージするらしい。我国の場合、ブナ科コナラ族の落葉広葉樹と常緑広葉樹の天然植生の境は、北関東辺りらしく
欧米のOAKの分布域が緯度的にもっと北になるのでそうした違いがあるのであろう。

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